プログラミング教育情報

ICT教育とは?学校教育での導入事例や保護者が知っておくべきこと

IT化が進む現代社会。子どもに与えたい教育は?

昨今では、情報やサービスのデジタル化が急速に進んでいます。ITツールやAIはまだ発展中であり、さらに効率性を重要視する社会になっていくことが予想されます。技術や社会の進歩に応じて、大きな変化が訪れているのが学校教育です。

現在小・中学校に通っている子どもは、生まれたときからインターネットやパソコンが身近だった世代です。子どもによっては、赤ちゃんの頃からスマートフォンやタブレットを触っていたことでしょう。

そんなデジタルネイティブ世代に求められているのが、ICT教育です。今回は、ICT教育の意味や現状、取り入れるメリットなどをご紹介します。一昔前では考えられなかったようなICT教育は、これからの時代を担うデジタルに強い人材を育むための教育指針なのです。

ICTとは?ITとの違い

ICTとは「Information and Communication Technology」の略称です。直訳すると「情報通信技術」であり、デジタルデバイスにおけるインターネットを用いたコミュニケーション・産業・サービス全般を指しています。

ICTと類似する言葉がIT(information technology)です。ITは、コンピュータをはじめとするハードウェアやアプリケーション、インターネットなどをまとめた「情報技術そのもの」を表しています。

ITとICTの違いは、デジタル技術を用いたコミュニケーションの重要性です。ICTではネットワークを活用した情報のやり取りや、利用者同士のつながりなどに重きが置かれています。

ICT教育の意味・目的

ICT教育とは、今までアナログで行っていた教育がデジタル化された、新しい教育の形です。具体的には、以下のような施策が取り入れられています。

  • 黒板の撤廃、電子黒板の導入
  • パソコンやタブレットなどのデジタルデバイスを用いた授業
  • 生徒一人ひとりの学習進捗に沿ったAI教材
  • オンラインを介した学習支援ツールの活用 など

文部科学省によると、ICT教育はおもに以下の2点を目的としています。

  • 問題解決・探求のために情報と情報技術を活用する上で必要な知識と技能を身につける。
  • 情報モラル・情報セキュリティについての理解を深める。

学習過程においてデジタルデバイスを用いたり、情報技術を活用して適切な情報を得たりなどのプロセスの中で、子どもたちは新たな能力を得ていきます。

ICT教育により得られるプログラミング的思考・情報モラル・情報セキュリティ能力などは、AI技術に負けない社会人基礎力の基盤となり、子どもの人生の可能性を広げていきます。

参考:文部科学省「学習の基盤となる資質・能力としての情報活用能力の育成」

ICT教育の中心的施策「GIGAスクール構想」とは

ICT教育の中心的施策となっているのが「GIGAスクール構想」です。GIGAスクール構想とは、義務教育対象の生徒に向けて、1人1台の学習用パソコンと高速ネットワーク環境などを整備する計画です。文部科学省により、2019年から始まり、2024年の終了を目指しています。

GIGAスクール構想では、これまでの教育にICT教育をプラスし、「学校活動の一層の充実」と「主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善」を目的としています。

GIGAスクール構想が実現すれば、子どもたち一人ひとりの反応を踏まえた上で、双方向型の一斉授業が可能です。生徒同士の意見交換も容易になり、多様な意見にも即時に触れられる環境の整備ができます。

参考:文部科学省「GIGAスクール構想の実現へ」

国内におけるICT教育の現状

2021年に、文部科学省は「学校教育情報化の現状において」というデータを発表しました。資料によると、日本の小学校におけるICT教育の活用割合は24.4%に留まっています。

日本全国の小学校の4分の1まで進んできたことは一定の評価に値するものの、他のOECD(経済協力開発機構)の加盟国では平均51.3%の数字を出しています。

日本のICT教育が他国よりも遅れている事実は明白であり、国内でも地域によって活用割合に大きな差が生じています。2024年に迫ったGIGAスクール構想の実現に向けて、早急な対応が求められているのです。

参考:文部科学省「学校教育情報化の現状について」

ICT教育の導入事例

現在日本では、デジタルデバイスやツールを用いたICT教育が徐々に拡大中です。以下に、実際に小学校の教育現場に導入されているICT教育の事例をいくつかご紹介します。

  • 電子黒板に算数のグラフを拡大提示する
  • デジタル教科書を用いて、教師や児童がタッチパネルでサイドラインを引く
  • 過去の教科書のデータベースを用いて、前学年の説明的な文章教材を出す
  • 個別のタブレットPCで動画を視聴する
  • 電子黒板で自作の3D教材を操作し、位置を変えたり見回したりする
  • 生徒の自作問題をタブレットでクラスに共有し、交流する
  • 77インチのような大画面に教材を映し、印象的に表示する
  • 模造紙作成ソフトウェアをタブレットで操作し、印刷する など

授業者はICT教育に対して「児童生徒の反応を感じ取りやすい」「教師の指示に対して生徒が集中して取り組んでいる」などの感想を報告しており、今後のさらなる発展が期待されています。

参考:日本視聴覚教育教会(文部科学省委任)「教育ICT活用実践事例集」

学校・家庭でICT教育を取り入れるメリット

ここでは、学校・家庭でICT教育を取り入れるメリットをご紹介します。ICT教育は環境やデバイス次第で家庭でも導入することが可能です。ICT教育で養える能力に注目しながら、子どもの学習プロセスをより良くしていきましょう。

IT技術を使い、わかりやすい授業が行える

ICT教育を取り入れると、IT技術・ICT技術を使って分かりやすい授業が行えます。黒板に書かれた小さな字もすぐ拡大でき、3Dモデルやアニメーションなどを用いて多角的な授業が実施できます。

特に小学校低学年の場合、言葉では伝えにくい授業内容を図や動画で表現することで、生徒たちが直感的に理解できるようになることも。デジタルデバイスが身近な世代だからこそ、ストレスが少ない状態で学習と向き合えます。

学習環境が効率的になる

ICT教育では視覚や聴覚に訴えかける授業を行えるため、効率的に学習ができます。従来の授業では、先生が黒板に書いた内容を子どもたちが書き写していました。しかしICT教育の場合、先生は要点を一斉にタブレットに送信できます。

書き写しの時間や書き間違えが減ることで、実践や復習により多くの時間を使えることがメリットです。授業時間は従来と変わらないため、より授業の質が高まるでしょう。

保護者様が子どもの学習の進捗を確認しやすい

ICT教育は、保護者様が子どもの学習進捗を確認しやすいことも特徴です。学習がどこまで進んだかや、進捗に応じたAI教材などが確認できるため、アナログの授業よりも正確に子どもの状態を把握できるでしょう。

教員の事務的負担が軽減される

ICT教育を取り入れることで、教員の事務的負担が大幅に軽減されます。テストや教材もデータで用意するため、手書きで書いたり何十枚も印刷したりする必要がなくなります。

昨今では保護者様とのやり取りもデジタル化されており、共有情報が相手に確認されたかどうかもチェック可能です。テストの採点における負担も減り、心理的・時間的余裕が生まれます。

子どもの進捗や理解度に寄り添った教育ができる

ICT教育の大きなメリットの一つが、子どもの進捗や理解度に寄り添った教育の実現です。従来のスタイルでは、何十人もの生徒を相手に同じ内容の授業を行っていました。そのため、勉強が得意な子は授業に退屈しやすく、苦手な子にとってはついていけないという課題が発生していました。

ICT教育におけるAI教材を使うことで、生徒一人ひとりに最適な課題を与えられます。幅広い学力層の生徒に個別対応ができ、教員の直接指導と併用することで相乗効果を発揮できるでしょう。

子どもの知的好奇心を刺激しやすい

ICT教育は、子どもの知的好奇心を刺激するギミックを導入しやすいことが魅力です。例えばアニメーションやエフェクトなどを用いれば、子どもは普段から親しんでいる動画視聴コンテンツと似た距離感で学習に臨めます。

現代の小学生にとって、パソコンやタブレットなどのデジタルデバイスは身近な道具です。娯楽品としてのイメージが強いため、勉強に用いたときもワクワクした気持ちを抱きやすいでしょう。

子どもがデジタルリテラシーを身につけられる

ICT教育では、学習の中で子どもが自然とデジタルリテラシーを身につけられます。電子機器の操作方法やオンラインを介したコミュニケーションを通じて、将来的に役立つ基礎的なスキルを習得できるでしょう。

デジタルリテラシーを高めるためには、まずデジタル機器や情報技術が身近に存在している必要があります。学生の本業である学びに情報技術を導入することで、今までよりもさらに近しい距離感でICTに触れられるのです。

ICT教育を行う際の注意点

ここでは、ICT教育を行う際の注意点をご紹介します。ICT教育は、アナログで行っていた授業をデジタル化したものです。デジタル授業だからこそ心がけるべきポイントを学び、子どもの安全を守っていきましょう。

インターネットリテラシーを身につける必要がある

ICT教育を行う際は、インターネットリテラシーを身につける必要があります。インターネットリテラシーとは、インターネットの事象や情報を正しく理解した上で、適切に判断する能力です。

ICT教育ではオンライン環境を用いた授業を行います。インターネットには虚偽の情報や悪意が含まれた情報も多いため、正しい情報を自分で見極めるスキルが求められます。また個人情報を出さないようにしたり、インターネットトラブルに巻き込まれないために知識を学んだりする必要があるでしょう。

アウトプットする力を養う必要がある

ICT教育では、情報のインプットが効率的になります。しかし自分でノートに書いたりレポートにまとめたりする機会が減少するため、アウトプットする力は授業外で養う必要があるでしょう。

特にタブレット端末を用いたICT教育では、ノートを取る機会がないため学習内容が定着しづらいことなどが課題となっています。デジタル化が与えてくれるメリットを尊重しつつ、学習内容の定着のためにはアウトプットの機会を意識的に設けましょう。

身体的疲労や姿勢が悪化するリスクをケアする

ICT教育ではパソコンやタブレットを利用するため、身体的疲労や姿勢の悪化が懸念されます。アナログ授業でも同様のリスクはあるものの、デジタル端末特有の明るい光は脳を疲れさせ、眼精疲労につながりやすいといえます。

子どもが学習する姿をチェックしつつ、体がつらそうだったり姿勢が悪くなりそうだったりする場合には、なるべく早めに対策をとってください。液晶の設定変更やライトカットシートの導入などもおすすめです。

インフラの整備が必要

ICT教育の基本であるとともに、家庭によっては最大の壁となるのがインフラ整備です。スマートフォンが普及する現代では、パソコンやタブレットを所有していない家庭も少なくありません。

またデバイスだけではなく、良質な通信環境もICT教育に必要です。ページを更新する度に画面が止まってしまったり、長時間読み込まれなかったりする環境では、学習に集中できませんよね。ICT教育導入の際は、今一度家庭の通信環境を見直すことから始めましょう。

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今回は、ICT教育の意味やICT教育導入事例、学習にICT教育を取り入れるメリットなどをご紹介しました。

デジタル学習が定着しつつある昨今では、子どもの習い事のスタイルも変化しつつあります。特に、学習に役立つさまざまな能力を養えるプログラミングは、世界中で注目されている習い事の一つです。

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