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日本の英語教育の問題点9つ|海外の英語教育との違いや日本の現状とは

日本の英語教育の現状とは

日本の英語教育には、さまざまな課題が存在しています。学校教育の方針は、学習指導要領の改訂により定期的に変更されていますが、海外と比べると日本の英語レベルは低い水準にとどまっているのが現状です。

今回は、日本の英語教育の問題点や、家庭でできる英語教育の方法についてご紹介します。海外の英語教育の特徴についてもあわせて解説していきますので、日本の教育との違いを見比べながら、家庭教育や習い事を選ぶ際の参考にしていきましょう。

日本の英語教育の現状・問題点9つ

まずは、日本の英語教育の現状に基づいた問題点を9つご紹介します。日本は、中学校までの義務教育期間において、すべての子どもたちが英語に触れられる国です。しかし実際には、多くの日本人が英語力に自信を持てていません。日本の英語教育ならではの特徴を学び、課題を認識していきましょう。

音声学習が足りない

日本の英語教育には、音声学習が足りないという課題があります。ライティングやリーディングなどで英語に触れられる機会は確保されていても、ネイティブの生きた英語をリスニングできる機会に乏しく、リアルな英語をなかなか学べません。

また学校によっては、発音記号に関する教育が十分ではないケースも。その結果、文法的に正しい英語は理解できていても実践力が育たず、シンプルな英会話すらもスムーズに聞き取れない状態になってしまいます。自分から話す場合も、発音学習が不十分なため、カタカナを読んでいるだけのような話し方になってしまいがちです。

インプットばかりでアウトプットの機会が少ない

インプットばかりでアウトプットの機会が少ないことも、日本の英語教育の現状であり課題です。義務教育における英語学習は、単語を暗記したり文法を理解したりする授業がメインとなっています。とくにスピーキングの分野は実践の機会が乏しく、力をさらに伸ばすためには学校以外の場所で学ぶ必要があります。

日本の英語教育は画一的な授業となる傾向が強く、生徒一人ひとりに合わせたスピーキング学習を行う環境をなかなか用意できません。その結果、大人になってからスピーキングに苦手意識を感じるという人も少なくはないでしょう。

学習時間が足りない

日本の英語教育では、英語の学習時間が足りないことも問題視されています。去る2022年に学習指導要領の改訂がおこなわれ、小学校における英語の授業時間が増えました。しかし今もなお、小学3・4年生では年間35時間、小学5・6年生では年間70時間、中学校では年間140時間に留まっています。

英語教育の時間が増加傾向にあることは、歓迎すべき変化です。しかしグローバル化が進む現代社会において、流暢に英語を扱うために十分な学習時間であるとはいえないでしょう。

和訳を前提としている

和訳を前提としていることも、日本の英語教育の課題の一つです。日本語と同じように英語を理解するためには、読んだり聞いたりした英文をそのまま英語で理解する必要があります。しかし、英語を一度脳内で日本語に訳すことで理解しようとする人は多いものです。

たとえば日本語で「スイカ」と聞いたら、すぐにスイカの映像が浮かんできたり、スイカの概念を直ちに把握できたりしますよね。しかし「watermelon」と聞いたときは、脳内で一度「watermelon=スイカ」と翻訳するプロセスを経る人が多い傾向に。その結果、スピード感のある理解がかなわず、総合的な英語力が養われにくくなってしまいます。

単語、文法の勉強ばかりしている

日本の英語教育では、実践力につながる学習が少なく、単語や文法の勉強ばかりしていることも課題です。もちろん英語を理解するためには、基礎的な語彙・文法の学習は重要です。しかし日本語も同様であるように、教科書や文法にあるような正しい言葉遣いで話すシーンは限られています。

たとえばネイティブ話者の間で頻繁に使われる「It’s up to you」というフレーズには、意訳として「あなたに任せるよ」「それはあなた次第だね」という意味があります。これは、単語や文法を理解しているだけでは訳せないフレーズです。

受験対策が重視されている

受験対策が重視されていることも、日本の英語教育の現状であり課題です。社会のグローバル化や情報化に伴い、昨今の学校教育では非認知能力の育成が重要視されています。「テストや受験の点数で測れない能力を伸ばそう」とする取り組みが、全国的に広がっています。

しかし実際は、中高受験や大学受験への対策、テストや成績表の評価に直結する学習ばかりが重視されがちです。令和の現代であっても、学歴や学力に評価・注目が集まるシーンは多いもの。その結果、実践力よりも「いかにペーパーテストで結果を残せるか」ばかりが尊重され、本来の英語教育の目的との乖離が生まれてしまっています。

英語を使う機会が少ない

日本の英語教育では、英語を実際に使う機会が不足していることが大きな課題となっています。日本では、「覚える」「読む」「書く」といった英語教育にばかり重点が置かれがちです。英語力の向上においてそれらの力はもちろん重要ですが、実践力を養うためには「聞く」「話す」の学習を多く取り入れる必要があります。

「ペーパーテストでは良い成績をとれるのに、子ども向けの英語番組や児童向けの歌すらも上手に聞き取れない」という人も多い傾向に。英語の授業自体が日本語で進められることもあり、五感で英語を感じられる機会に乏しいのが現状です。

海外留学の経験がある教員が少ない

海外留学の経験がある教員が少ないことも、日本の英語教育の課題といえるでしょう。何事も、一次体験に勝る学習はありません。どれほどペーパーテストで好成績を得ている教員でも、生きた英語に触れた人財が有する知識や知恵には及ばないものです。

テストや受験の対策をするだけであれば、留学未経験者でも優秀な教員は多いでしょう。なぜなら、英語力と指導力は別の能力であるからです。しかし将来的にグローバル社会で活躍する人財を育成するためには、ネイティブ話者と渡り合うための「本場の力」を伝える必要があります。

外国語指導助手をうまく活用できていない

日本の英語教育では、外国語指導助手をうまく活用できていないことも課題です。外国語指導助手とは、英語の授業に関わるスタッフであり、多くの場合はネイティブスピーカーの外国人から選出されます(ただし、英語圏出身とは限りません)。

外国語指導助手は生徒に生きた英語を提供したり、生徒の学習意欲を向上させたりする役割を期待されていますが、実際には人財を導入できていない学校も多い傾向に。生徒が生の英語に触れる機会を増やせず、英語教育の水準がなかなか向上しない状態が続いています。

参考:文部科学省「小学校における外国語教育の指導体制について」

日本の英語教育のメリットとは

前項では日本の英語教育の課題を取り上げましたが、日本ならではの英語教育のメリットも存在しています。現状の英語教育の悪い部分だけに着目せず、評価すべきポイントも把握することが大切です。ここでは、日本の英語教育ならではの魅力やメリットをご紹介します。

文法が身につく

日本の英語教育では、スピーキング力やリスニング力が身につきにくい代わりに、リーディング力が養われやすいことが特徴です。小学生の頃から助詞や補助動詞の概念に触れられ、将来的には英字新聞や英語の小説なども読み解ける力が育まれます。

文法の基礎を理解しておけば、単語力を高めることで幅広い文体に対応可能に。小学校で基礎力がついているからこそ、中学・高校に進学した後の難解な英文問題にも適応できるのです。学校で習う英文と実践的な英文には乖離がありますが、正しく美しい文体を覚えることは決して無駄にはなりません。

受験英語レベルの語彙力やスペリングが身につく

受験英語レベルの語彙力やスペリングが身につくことも、日本の英語教育ならではのメリットです。日本における受験英語は、単語力や読解力に重点が置かれます。卒業よりも入学のほうがハードルが高い日本の受験において、受験勉強はそのまま英語の基礎力アップにつながるのです。

この学習法や受験の形態は、過去の英語教育の目的である「英語の文献を理解して取り入れる」に準じています。しかし現在はグローバル化が進み、コミュニケーションや自己表現のために英語が求められるシーンが増えました。令和における実践的な英語教育のためには、現在のメリットを維持しつつ、時代に合わせたアウトプット力が求められるでしょう。

海外の英語教育との違い

ここでは、海外の英語教育の特徴をご紹介します。社会に出ると、10年近く英語教育を受けてきた日本人よりも、遙かに流暢に英語を操る外国籍の人財に出会う機会が増えますよね。海外ならではの英語教育との違いを知り、日本の英語教育の課題や改善点について考えてみましょう。

オランダ

オランダは、非英語圏で世界トップクラスの英語力を保持している国です。オランダの義務教育は5歳(場合により4歳)から始まり、英語教育も同時期にスタートします。ほとんどの小学校の授業で、1年生から英語が導入されます。

またオランダは教師の英語レベルが高く、すべての人財がCEFR(外国語の運用能力を同一の基準で評価するグローバルな指標)の「B2レベル」を求められることも特徴です。このレベルは、学問上や職業上の目的で、柔軟かつ効果的に言語を用いることができるレベル。英語が話せない教師が英語を教える場合もある日本と比べると、大きな差があることが伺えます。

オーストリア

オーストリアの教育制度は非常に独特です。子どもは10歳で小学校を卒業し、卒業後は「就職組」か「進学組」かで道が大きく分かれます。

英語教育は、通常、進路が分かれる前の小学校3年生から始まります。オーストリアの公用語はドイツ語であり、英語と似た文体で覚えやすいことも英語力の高さの理由でしょう。

またオーストリアはドイツ・ハンガリー・スロベニア・スロバキアなど複数の国に囲まれた小国で、幼い頃から多言語に触れる機会が多いことも、英語に抵抗感を抱かない所以と考えられます。

シンガポール

シンガポールは、日本よりもさらに学歴が重要視される傾向にある国です。子どもが生まれてすぐ保護者達は早期教育を開始し、将来的に社会で活躍するために必須となる英語教育もスタートします。シンガポールの小学校の授業はすべて英語でおこなわれるため、欧米とほぼ同様の教育を受けられることも特徴です。

またシンガポールは、国として「バイリンガル政策」を展開しています。英語は必須言語であり、第2言語として中国語やマレー語などのなかから選択する形式です。そのため多くの国民は当たり前に英語を話し、シーンによって母国語や第2言語などと使い分ける形で生活しています。

フィリピン

フィリピンは、マレー系・中国系・スペイン系などさまざまな出身地を持つ国民が暮らす国です。出身地の異なるフィリピン人同士は、日常的に英語で会話をします。フィリピン人にとって英語は外国で活躍するためだけではなく、同国内で円滑なコミュニケーションをとるための手段でもあるのです。

現在のフィリピンの授業は、小学2年生までは現地語で、3年生からは英語(+フィリピノ語=タガログ語を標準化した公用語)でおこなわれます。フィリピン政府は国民に出稼ぎを奨励しており、賃金の高い国で働くために英語は必須です。そのため義務教育である小学校を卒業するまでの間に、英語圏の国で生活できるレベルの英語力を鍛えます。

中華人民共和国

中華人民共和国は日本と文化が近い国ですが、英語力には大きな差があります。中華人民共和国が英語教育を重視するきっかけになったのが、WTO(世界貿易機関)への加盟や北京オリンピックの開催です。2005年には、国内のほとんどで英語が必修科目になりました。

中華人民共和国の英語教育の大きな特徴が、早期学習です。2001年時点で、小中校を卒業する際には約2,800語を習得するカリキュラムが組まれています(日本は2011年時点で約1,200語)。

また中国語は大きく7つに分かれており、地域によっては同じ中国語でもまったく言葉が通じないことも。多言語に慣れている国民性であることも、英語に抵抗感を抱きにくい理由といえるでしょう。

韓国

韓国は、1997年時点で小学3年生以上の英語教育がすでに必修化されている点が特徴。韓国の小学校では、リスニング・スピーキング・ライティングの力に基づいた「コミュニケーションを重視する英語教育」がおこなわれています。

デジタル教材も充実しており、五感を用いて多角的に学べることが魅力です。また保護者層も英語教育に力を入れており、海外留学を体験させたり英語塾に通わせたりと、学校以外にも英語を学べる環境を与えています。

英語教育が成功している国の特徴

ここでは、英語教育が成功している国の特徴をご紹介します。日本の英語教育は、昨今改善傾向にありますが、まだまだ世界レベルには到達していません。各国の英語教育の特徴を学んだうえで、どうすれば日本の教育がさらに良いものになるのかを考えてみましょう。

英語の授業回数・時間数が多い

英語教育が成功している国の特徴として、英語の授業回数や時間数が多いことが挙げられます。たとえば日本の小学3・4年生の英語の授業は、2024年現在も週に1回です。

しかし中国の小学3年生は、2001年時点ですでに週4回以上の英語の授業を受けています。韓国や台湾でも、週2回の授業が展開されています。

英語教育を早い段階で導入している

英語を早い段階で導入していることも、英語教育が成功している国の特徴です。たとえば日本の義務教育では、小学3年生から英語の授業が始まります。

しかし英語力の高いシンガポールで英語教育が始まるのは、小学1年生からです。日常生活で使える簡単な英会話は、未就学児から教わりだします。

学校の授業以外で英語を使う機会がある

英語は、インプットとアウトプットを繰り返すことで知識として定着します。そのため、学校の授業以外でも英語を使う機会が多い国では、自然に英語力が高まっていくと考えられます。

たとえばフィリピンや中国のように、同じ国民でも使用する言語に違いがある場合は、英語でのコミュニケーションが選ばれる傾向に。プライベートでも英語を使うシーンが増えるほど、より実践力に優れたスキルが身につくのです。

効果的な英語教育を受けるためには

ここでは、効果的な英語教育を受けるために必要な要素をご紹介します。日本の学校の英語教育では、学べる内容や得られるスキルに限界があります。家庭教育や習い事などを導入しつつ、より子どもの能力を引き出せる方法を探してみましょう。

学校以外で英語に触れる時間を増やす

効果的な英語教育を受けるためには、学校以外で英語に触れる機会を増やすことが大切です。日本の英語教育は、とくにネイティブ話者とコミュニケーションをとれる機会が少ない傾向にあります。生きた英語を聞く・話すチャンスを増やし、実践経験を重ねましょう。

イマージョン教育を受ける

イマージョン教育は、効果的な英語教育を受ける方法の一つです。イマージョン教育とはバイリンガル教育の一つで、多言語が飛び交う環境に身を置く手法を指します。ネイティブの講師から授業を受けられるため、高いヒアリング能力や思考力、スピーキング力が身につく点が特徴です。

コミュニケーションを念頭に置く

英語教育の効果を引き出すためには、英語によるコミュニケーションを念頭に置くことを忘れないようにしましょう。「書く」「読む」だけではなく、「聞く」「話す」を重視した教材や環境を選ぶことで、社会で活躍するために必要な英語力が養われます。

家庭でできる英語教育とは

ここでは、家庭でできる英語教育の方法やポイントをご紹介します。日本の英語教育は世界からやや遅れているからこそ、家庭でできる学習方法を導入することが大切です。子どもが楽しみながら学べる学習をリサーチし、英語力を引き出していきましょう。

学校で学んだことを復習する

家庭でできる英語教育の一つに、学校で学んだことを復習する習慣が挙げられます。多くの教科を学ばなければならない子どもにとって、年間数十コマ程度しかおこなわれない英語学習の内容は、復習なしだとなかなか定着しません。

自主学習ノートを英語用に作成したり、自主学習のテーマを英語関連の内容に定めたりするなどの方法で、学んだ内容に繰り返し触れられる機会を増やしましょう。

関心のある歌やキャラクターを利用する

家庭教育でおすすめしたい方法として、子どもの興味関心を活用することが挙げられます。たとえば好きな漫画の台詞を英訳させたり、好きな映画を字幕で観たりするなどの方法がおすすめです。

子どもに好きな洋楽アーティストがいれば、英詩の意味を調べさせるのも良いでしょう。英語のグループ名や曲名の由来を調べると、娯楽を楽しみながら英語も学べます。

親自身が英語を学ぶ

親自身が英語を学ぶことは、子どもの英語教育において大きな影響を与えます。なぜなら、小学生の子どもにとって、最も身近なお手本となる存在は親であるからです。

「一緒に同じものを勉強する」ということが、学習の大きなモチベーションに。また親子が英語でコミュニケーションをとれるようになると、日常会話をするだけでどんどん英語スキルが上達していきますよ。

洋書を家に置く

子どもの英語教育において、リーディング力や単語力を上げたい場合は洋書がおすすめです。子どもが好きな小説や漫画の英訳版を購入し、いつでも読める状態にしておきましょう。

また、幼児向けの絵本やアメコミなども、楽しみながら英語を学ぶために役立ちます。英語力がついてきた子には、ハリーポッターシリーズのような人気作品の原作も良い教材になるでしょう。

オンライン英会話で学ぶ

家庭でできる英語教育の方法に、オンライン英会話が挙げられます。オンライン英会話は自宅というリラックスした環境で学べるだけではなく、保護者の送迎の負担がないこともメリットです。

またオンライン英会話は、基本的にマンツーマンレッスンでおこなわれます。グループレッスンよりも会話量が増えるため、学校では学びにくいリスニング力やスピーキング力が養えるでしょう。

プログラミングなど別角度から英語を学ぶ

英語教室以外でも、英語を学べる習い事は多いものです。なかでも代表的な習い事の一つが、プログラミングです。

プログラミングに登場する言語は、すべて英語・数字・記号で構成されています。プログラミングを通じて楽しく英語に触れることで、英語教育における学習効果も上昇していきます。

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今回は、日本の英語教育の問題点や海外の英語教育の特徴、家庭でできる英語教育についてご紹介しました。

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