2020年度より、小学校にてプログラミングが必修化されました。「子どもにプログラミング言語を学んでほしい」と思っても、何から始めればよいのか悩んでしまいますよね。
どのようにプログラミング学習を進めるか迷っている方には「ゲーム制作」がおすすめです。お子さんが興味を持ちやすい分野なので、楽しみながら学習できます。
そこで本記事では、以下について解説します。
お子さんのプログラミング学習、プログラミング言語に興味のある保護者様は、ぜひ最後までご覧ください。
プログラミングとは、コンピューターを動作させるために、指示を順序立てて記述することです。どれだけ高性能なコンピューターでも「何を・どのようにするのか」を伝えなければ、思い通りに動作しません。
たとえば「歩く」という動作をさせたい場合は、以下のように説明します。
コンピューターは人間の言語を理解できないため、指示するときはプログラミング言語を使用します。
プログラミングで作れるものを、いくつかご紹介します。
学習するモチベーションを維持するためには「興味を持って楽しむこと」が大切です。お子さんが初めてプログラミングに取り組む場合は、上記の中では特にゲーム制作がおすすめ。
オリジナルのゲームを開発すれば、Steamなどのゲームプラットフォームにて配信・販売することも可能です。
ゲームを開発において使用するプログラミング言語を決める際は、以下の項目を考慮します。
続編のゲームを制作する場合は、前作と同じプログラミング言語を用いるケースも多いです。
つまり、すべてのゲームに使えるマルチなプログラミング言語はありません。ゲーム制作現場で仕事をしたいならば、ゲーム制作を得意とするプログラミング言語に関して、幅広い知識を身につける必要があります。
ゲームの制作に活用できるプログラミング言語を、9つピックアップしました。
プログラミング言語 | 開発できるゲームの例 |
---|---|
Java | スマホアプリゲーム |
C++ | 家庭用ゲーム |
C# | コンシューマーゲームやPCゲーム、スマホアプリゲーム |
Swift | スマホアプリゲーム |
Ruby | パソコン向けのブラウザゲームや2Dゲーム、3Dゲーム |
Go・Golang | 2Dゲーム |
PHP | スマホアプリゲーム |
Python | スマホアプリゲームやブラウザゲーム |
JavaScript | ゲームに関連したWebサービス |
以下で、言語ごとに特徴を解説していきます。
Javaはゲーム開発以外にも、業務システムやWebサイトの開発など、さまざまな分野で活用されています。Androidアプリ開発で用いられることが多いプログラミング言語です。
スマホゲームアプリはiOSとAndroid両方でリリースされるのが主流のため、アプリ開発を目指す場合は習得しておくとよいでしょう。需要が高いプログラミング言語のため、学習ツールが充実しているのもポイントです。
C++は、C言語を拡張させたプログラミング言語です。C言語は1972年に開発されて以来、組み込みシステムの開発などに利用されています。コンピューターが理解しやすい形式でコードを記述するので、処理速度が速い点が特徴。
その分、学習する難易度は高く、最初に学ぶ言語としてはレベルが高いでしょう。「PlayStation 5」や「Nintendo Switch」でも、C++が用いられています。家庭用ゲームの開発を目指すならば、習得しておきたいプログラミング言語です。
C#はJavaなどをベースにして開発されており、オブジェクト指向が採用されたプログラミング言語のひとつです。オブジェクト指向とは、プログラムの機能を部品化し、さらに部品を組み合わせてプログラムを作成する考え方のこと。
C言語やC++の後継言語として、位置づけられています。Javaと似た文法で、C++よりも習得する難易度が低く、初心者向けのプログラミング言語といえるでしょう。
コンシューマーゲームやPCゲーム、スマホアプリゲームの開発に使用されています。ゲーム開発プラットフォーム「Unity(ユニティ)」とC#を活用すれば、比較的簡単にゲームを開発できる点が魅力です。
Swiftは2014年にApple社により発表された言語で、Apple製品のアプリ開発を得意としています。SwiftによってiPhoneやiPad、Apple Watch向けアプリが開発されています。
他のプログラミング言語と比べてコードがシンプルなので、エラーが起こりにくい点がメリットです。書きやすく読みやすい言語のため、プログラミング初心者でも理解しやすいでしょう。
Rubyを使用すると、パソコン向けのブラウザゲームや2Dゲーム、3Dゲームを開発可能です。Web開発を得意としており、クックパッドや食べログといったアプリにもRubyが使われています。
日本で生まれたプログラミング言語のため、日本語の参考情報がインターネット上に多く存在します。英語を読めない子どもでも、自力で調べて疑問点を解決しやすいです。
Go・Golangは、2009年にGoogle社によって開発されたプログラミング言語です。誰が見ても分かりやすいような、コードのシンプルさが魅力。ゲーム開発だけでなく、ドローンやロボットの開発にも利用されています。
まだ歴史が浅い言語のため、インターネット上に参考文献が少ない状態です。自力で調べて疑問点を解決するには、時間がかかるでしょう。
PHPはスマホゲームアプリの開発でよく使用されます。1994年に誕生してから世界中で利用されているプログラミング言語のため、参考文献が豊富で学習環境が整っています。
フレームワークが導入されているケースも多く、幅広いツールを扱えるスキルが必要です。フレームワークとは、プログラム開発に欠かせない機能をまとめた枠組みのことです。
Pythonはスマホアプリや、ブラウザゲームの開発に用いられています。ゲームに加えて、WebアプリケーションやAI分野の開発、データ解析が得意です。
コードの記述が短く文法がシンプルなので、初心者向けのプログラミング言語といえるでしょう。動作確認が簡単で、リアルタイムで学習できる点もポイントです。
JavaScriptはJavaと名前が似ていますが、完全に異なるプログラミング言語です。具体的に、以下のような場面で使用されています。
スマホゲームアプリの中で「お知らせ」を画面に表示するなど、ゲームに関連したWebサービスを開発する際にJavaScriptのスキルが求められます。
小学生のプログラミング学習で、気をつけたい5つのポイントをご紹介します。
以下で、詳しく解説していきましょう。
プログラミングを学ぶときは、最初に目標を設定する必要があります。明確な目標があると、モチベーションが維持しやすいです。「目標を達成できた」という満足感と自信は、高度なスキルを習得するきっかけになります。
目標を設定するときは、具体的かつ段階的な内容にするとよいでしょう。「ゲームを開発する」という大きな目標だけでは、達成までに時間がかかり、途中で挫折してしまう可能性があります。
たとえば、ゲーム制作の場合は以下のような目標が立てられます。
達成までの期限を決めておくと、より集中して学習を進められるでしょう。
疑問点を解消できず、プログラミング学習に挫折するケースは少なくありません。質問できる相手がいなければ、分からない点が蓄積されて「プログラミング=難しくて楽しくないもの」と認識してしまいます。質問環境を用意することは、プログラミングを学ぶ上で気をつけたいポイントのひとつです。
プログラミングの答えは必ずしも一つとは限らないため、自分の作成物が正解なのか・間違っているのかの判断が難しい場合があります。豊富な知識を持った方に「もっと効率的にする方法は……」などと指摘してもらうことが、言語への深い理解につながります。
学習書を丸暗記するだけでは、プログラミングのスキルは習得できません。一番大事なのは、実際にコードを記述できる能力です。知識を覚えることは必要ですが、アウトプットして実践力を身につけるほうが重要といえます。
まずは見本と同じコードを作成し、理解できたら自分なりのプログラムを作ってみましょう。エラーやバグを修正しながら試行錯誤する中で、実践で役立つプログラミングスキルが養われます。
子どもたちがプログラミング言語を学ぶ方法は、主に4つあります。
教材を使用する場合は、達成したい目的と現在のレベルを考慮しましょう。
幅広い世代でプログラミング需要が高まっているため、さまざまなレベルの教材が販売されています。レベルが高すぎる・低すぎると、学習するモチベーションが下がることも。
お子さんが自分からやりたいと思えるような、楽しく学べる教材を導入することが大切です。
適切な学習環境を用意してから、プログラミング学習に取り組みましょう。プログラミングを始めるために必要なものは、以下の通りです。
不明点を検索したり、作成したプログラムを公開したりするにはインターネット環境が欠かせません。
お子さんがプログラミングを学ぶために使用するのであれば、一般的な性能のパソコンで問題ないでしょう。ただし、本格的なゲーム制作は膨大なデータを扱うため、容量の大きなパソコンが求められます。
アプリとブラウザ、どちらのゲームを作るか迷っている方に向けて、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
アプリゲーム | ブラウザゲーム | |
メリット | 通知機能を使用できる動作が速い | ダウンロード・インストールが不要更新する手間がかからない |
デメリット | アプリをダウンロード・インストールする手間がかかる更新しなければいけないアプリストアの規約を守る必要がある | 通知機能を使用できない |
そもそもアプリとは、スマホまたはパソコンにダウンロードして使用するソフトウェアです。一方、ブラウザはダウンロードしなくても、インターネット上で利用できます。
先ほどご紹介したC++やJavaなどのプログラミング言語は、最初に習得するには難易度が高いでしょう。小学生がゲーム制作を始めるならば「Scratch(スクラッチ)」がおすすめです。
Scratchはマサチューセッツ工科大学のメディアラボによって開発された、ビジュアルプログラミング言語です。ビジュアルプログラミング言語とは、テキストで記述せず視覚的なオブジェクトでプログラムを作成する言語のこと。ブロックをつなげるだけで、プログラミングが完成する点がScratchの特徴です。
Scratchがおすすめな理由は、3つあります。
通信料がかかる場合がありますが、基本的に無料で導入できる点が魅力です。ゲームはもちろん、アニメーションやストーリーも作成できます。
「ゲームが好きだから将来はプログラマーになりたい」と考える子どもが増えています。ゲームプログラマーになるには、プログラミング言語やITに関する深い知識が求められ、ITの知識があるだけでは現場で活躍できる技術者にはなれません。
ゲームプログラマーを目指す場合に、必要な能力は以下の通りです。
以下でそれぞれについて詳しく解説します。ゲームプログラマーに興味があるお子さんをお持ちの保護者様は、ぜひ参考にしてみてください。
「プログラミング=一人で黙々と取り組む」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。しかし実際は、メンバー同士で協力してゲームを制作するため、ゲームプログラマーにはコミュニケーション能力が欠かせません。
一つのゲームを作るためには、プロデューサーやデザイナー、アーティストなど、多くの人々が関わっています。ゲームプログラマーは業務を進めるにあたり、日常的に「どのようなゲームを作るのか」や「現在抱えている課題」をメンバーと共有する必要があります。
一般的には、仕様書の作成から担当するのが「エンジニア」で、プログラミング部分を担当するのが「プログラマー」です。ゲームプログラマーは、作成された仕様書にもとづいて開発を行います。そのため、記載された内容を正確に読み取る読解力が重要です。
書かれた内容を理解するだけでなく、指示された背景や意図を推測するスキルも求められます。優秀なゲームプログラマーほど「なぜそのような仕様書になるのか」を理解できるので、細やかな配慮ができます。
デバッグとは、作成物のエラーやバグを見つけて修正する作業のことです。一度のプログラミングで、完璧なものが作れることはほとんどありません。エラーやバグを修正しながらテストを繰り返し、何ヶ月もかけてゲームを完成系に近づけていきます。
地道な作業に耐えられるような忍耐力・集中力がなければ、ゲームプログラマーとして活躍するのは難しいでしょう。「ひとつの課題に根気強く向き合える」または「地味な作業でも集中して取り組める」といったお子さんは、ゲームプログラマーに向いています。
客観力や想像力も、ゲームプログラマーになるために欠かせない能力です。ゲームを作る目的は「ユーザーに満足してもらうこと」。目的を達成するには、ユーザーがどのように感じるのかを考えなければいけません。
どれだけスキルがあったとしても「自分が作りたいもの」を優先していては、ユーザーの満足度を高められないでしょう。開発に熱中する姿勢も大切ですが、客観的にどう見えるのかを考慮する冷静さも不可欠です。
ひとつのゲームを形にするには、膨大な時間と作業量が必要です。「走る」や「メニューを開く」といった少しの動作でも、制作者の個性があらわれるのです。ゲームに対するこだわりがなければ、プログラマーを続けるのは困難でしょう。
しかし、こだわりを貫きすぎて納期を守らなかったり、予算をオーバーしたりする人材は現場で必要とされません。ディレクターやプロデューサーの指示に従い、柔軟に対応する姿勢が求められます。
IT業界は変化が激しく、次々と新たな技術が登場します。ゲームプログラマーになった後も、新しいプログラミング言語やITツールに対して理解を深める姿勢が必要です。
近年では、3D映像と音響効果を活用した「VRゲーム」や、現実世界にCGの情報を表示する「ARゲーム」が普及しています。優秀なゲームプログラマーは、常に新しい技術をリサーチし、どのようにゲームに生かすかを考えています。
ゲーム業界以外の知識も取り込む、視野の広さも大切です。人気のアニメや漫画をもとに制作されたゲームも数多く存在します。ユーザーが求めるゲームを考え、幅広い分野において情報収集できるプログラマーは現場で重宝されるでしょう。
プログラミングに限らず、好きなこと・やりたいことでなければ学習し続けられません。「おもしろいな」や「次はこんなことにチャレンジしてみたい」といった知的好奇心が、プログラミングを学ぶ原動力となるのです。
学ぶ楽しさを知ると、自分で積極的に疑問点を解決するために調べたり、より効率的なプログラムを作ろうとしたりするでしょう。プログラミング学習を始めるときは、楽しみながら学べる方法を選ぶことがポイントです。
プログラミングとは、プログラミング言語を用いて、コンピューターに何を・どうするのかを指示する作業です。プログラミング技術を活用すればWebサイトやロボットなど、さまざまなものが作れます。
小学生がプログラミングを始めるならば、ゲーム制作がおすすめです。プログラミング学習をスタートするときは、達成したい目標を最初に定めましょう。
学習が楽しくなければ、勉強やプログラミングを嫌いになる可能性があります。お子さんが「おもしろい」と思って、自分から学びたくなるような学習方法を探すことが重要です。
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