プログラミング教育情報

小学生のプログラミング授業の内容は?家庭でサポートするべき要素とは

目次

小学校のプログラミング授業では、どんなことを勉強するの?

社会のデジタル化が加速するなか、プログラミング教育に向けた取り組みが進んでいます。しかし「プログラミング授業で何を勉強するのか」「家庭でサポートできる要素はあるのか」など、疑問を持っている保護者様は多いはず。

そこで本記事では、以下について解説します。

  • プログラミング教育が必修化した背景
  • 小学生のプログラミング教育の目的
  • 小学生のプログラミング学習の授業内容例
  • プログラミング教育のメリット
  • 小学生のプログラミング教育における注意点
  • 家庭でできるプログラミング教育のサポート

プログラミング授業について興味がある保護者様は、ぜひ最後までご覧ください。

プログラミング教育が必修化した背景

プログラミング教育が必修化した背景をご紹介します。

  • 社会の急速なデジタル化
  • AIの発達による雇用機会の減少
  • ビジネスのグローバル化
  • 予測不可能なVUCA時代の突入

それでは、一つずつ解説していきましょう。

社会の急速なデジタル化

テレワークやオンライン授業など、世界規模で社会のデジタル化が加速しています。デジタル化が進むことで、業務効率・生産性のアップやコスト削減が期待できます。

急速にデジタル化が進む一方で、IT人材が不足しているのが現状です。ITに関する知識が乏しければ「業務で使用するツールを使えない」や「ウイルスに感染して企業や個人の情報を漏らす」といった事態を引き起こすリスクがあります。

AIの発達による雇用機会の減少

AIとは「Artificial Intelligence」の略称で、人工知能を意味します。自動運転やお掃除ロボット、Google翻訳など、実は私たちの身のまわりにはAIを活用した技術があふれているんです。

AIは生活を豊かにしてくれる存在ですが、雇用機会の減少をもたらす可能性があります。野村総合研究所とオックスフォード大学の共同研究において「10〜20年後に、約49%の職業がAIやロボットで代替できる」という結果が報告されました。

これからの社会で活躍するには、AIに代替されないスキルを身につける必要があるでしょう。

参考:野村総合研究所「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」

ビジネスのグローバル化

グローバル社会とは、国や地域のレベルを超えて資本や人材、情報をやり取りすることです。デジタル技術の発展に伴い、いつでも・どこでも・誰とでもコンタクトを取れるようになりました。結果として、ビジネスのグローバル化が進んでいます。

国際的に通用するITスキルを持っていれば、日本だけでなく「海外でも」活躍できるかもしれません。

予測不可能なVUCA時代の突入

VUCA(ブーカ)時代とは、以下の4つの単語の頭文字を取って作られた言葉で、将来の予測が困難な状態を指します。

  • Volatility(変動性)
  • Uncertainty(不確実性)
  • Complexity(複雑性)
  • Ambiguity(曖昧性)

テクノロジー技術の急速な発展や気候変動により、既存の価値観やビジネスモデルは通用しなくなっています。不確実なVUCA時代を生き抜くためには、情報収集力や問題解決力が求められるのです。情報収集力や問題解決力といったスキルは、プログラミング教育によって身につく可能性があります。

小学生のプログラミング教育の目的

小学生のプログラミング教育における目的は、主に5つあります。

  • 論理的思考力の育成
  • 創造性の育成
  • 問題解決能力の育成
  • IT・デジタルリテラシーの育成
  • 将来のIT人材の育成

以下で、詳しく見ていきましょう。

論理的思考力の育成

論理的思考力とは、物事を整理して適切な筋道を考える力のこと。論理的思考力が身につけば「計算間違いが多い」という課題に対して、「テストでは必ず計算をし直す」や「数字を丁寧に書く」といった具体的な解決方法を考えられるようになるでしょう。

現状を分析したり課題を解決したりする際には、論理的思考力が求められます。何を・どうするのかを順序立てて考えていくプログラミング教育では、論理的思考力が鍛えられるのです。

創造性の育成

ゲームやアニメーションの作成で、自分のアイデアが形になれば創造性が育まれます。AIの発達により、単純な作業はますます自動化されていくでしょう。

社会で求められる人材になるには、人間にしかできないような「クリエイティブな能力」が必要です。

問題解決能力の育成

プログラミング教育は試行錯誤しながら最適解を探していくため、問題解決能力の育成に効果的です。問題解決能力が身につくと、以下のようなメリットがあります。

  • 何事にも主体的に取り組める
  • 根気強く考えられる
  • トラブルに臨機応変に対応できる

自分で問題を解決する姿勢が身につくと、勉強だけでなく部活や習い事にもよい影響を与えます。

IT・デジタルリテラシーの育成

IT・デジタルリテラシーは、現代社会でトラブルを回避するために欠かせない能力です。「自分や友達の個人情報を流出させてしまった」や「SNSをきっかけに事件に巻き込まれた」といった事例は少なくありません。

プログラミング教育では、インターネットリテラシーについて学習します。また、デジタルツールに触れる機会が増えることにより、IT・デジタルリテラシーの向上が期待できるでしょう。

将来のIT人材の育成

経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」では、今後ますますIT人材が不足することが予測されています。「2030年に最大約79万人のIT人材が不足する可能性がある」との試算も公表されました。

小学生からデジタル機器の活用方法を学ぶことで、将来的なIT人材の増加が見込めます。

参考:経済産業省「IT人材需給に関する調査」

プログラミング教育で養われる「プログラミング的思考」とは

プログラミング的思考とは、目的達成に向けて抜け漏れのない手段を考えること。プログラミング教育によって養われるスキルの一つです。

プログラミング的思考と混同されやすい能力としては、論理的思考力が挙げられます。しかし、論理的思考力は「網羅性」を、プログラミング的思考力は「効率」を重視する点で異なります。

スキル特徴
論理的思考力網羅的に解決方法を考える
プログラミング的思考力効率のよい解決方法を考える

たとえば、プログラミング的思考力を活用して、机を掃除する方法を考えてみましょう。

  • 机の上の物をどける
  • 机のホコリを取り除く
  • 机を水拭きする
  • 机を乾かす
  • 机の上の物を元通りにする

上記のように、最初に机を整理しなければ効率よく掃除できませんよね。

プログラミングでは、何を・どのような手順で行うかを考えながらプログラムを作成します。プログラミング教育を受け続けると、プログラミング的思考ができるようになります。

小学生のプログラミング学習の授業内容例

小学生のプログラミング学習の授業内容例を、4つピックアップしました。

  • ICTの基本操作
  • ゲームやアニメーションの作成
  • ロボット作成
  • 正多角形の作図(算数)

どのような内容なのか、具体的にご紹介します。

ICTの基本操作

プログラミング学習では、最初にICTの基本操作を取り扱うケースが多いです。ICTとは「Information and Communication Technology」の略で、情報通信技術のこと。情報処理や通信技術の総称で、ICTの例は以下の通りです。

  • スマートフォン
  • ICカード
  • ATM
  • SNS上でのやり取り
  • メール送信機能
  • オンライン会議

ICTの基本操作ができなければ、プログラミング教育に支障をきたします。「キーボード入力が遅くて授業が進まない」または「授業に使用するファイルを誤って消去する」といったトラブルが発生します。

ゲームやアニメーションの作成

基本的なパソコン操作ができれば、ゲームやアニメーションの作成が可能です。小学生の場合「Viscuit(ビスケット)」や「Scratch(スクラッチ)」といった、ビジュアルプログラミング言語が用いられます。

ビジュアルプログラミング言語とは、視覚的なオブジェクトを使ってプログラミングができる方法を指します。テキストでのコード作成や、難しい文法の知識は必要ありません。たとえば、Scratchはカラフルなブロックをつなげるだけで、簡単にゲームやアニメーションを作れます。

ロボット作成

プログラミングで動かせるロボット作成を行う授業もあります。ロボットを動かすには、基本的な動作への理解はもちろん、目的を達成するための動作を考えなければいけません。

「ロボットでサッカーをする」場合ならば、以下のように考えます。

  • サッカーに必要な動作は何か(歩く・蹴る・方向転換)
  • 必要な動作(歩く・蹴る・方向転換)を実現するために、どのようにプログラミングすればよいか

自分で作ったものが実際に目の前で動けば、子どもたちの知的好奇心が刺激されるでしょう。「次はこんなものを作ってみたい」のように、新たなチャレンジのきっかけをつくります。

正多角形の作図(算数)

プログラミング技術を活用すると、正多角形を作図できます。「指示された通りに正多角形を作図すること」ではなく、「正多角形を作図するためには、どのようなプログラムを作ればよいのかを考えること」が目的です。

プログラミングを活用して作図することで、子どもたちは「作図に必要な考え方」や「コンピューターの正確性」に気づけます。

参考:文部科学省「Scratch 正多角形をプログラムを使ってかく」

2025年度の大学入試共通テストから「情報」が登場

これまでの受験では「国語・数学・英語・理科・社会」の5教科が課されていました。2025年1月に実施される大学入学共通テストより、新たに「情報」科目が追加されます。

大学入試センターは公式サイトにて、令和7年度試験の問題作成の方向性や試作問題を発表しています。試作問題における出題内容は、以下の通りです。

  • 情報社会の問題解決
  • 情報通信ネットワークとデータの活用
  • コンピュータのプログラミング
  • コミュニケーションと情報デザイン

プログラミングのサンプル問題では、変数の使い方や繰り返し処理といった、基本的なプログラミング的思考が問われています。つまり、小学生のうちからプログラミング学習に取り組んでおけば、将来受験を有利に進められるでしょう。

参考:大学入試センター「概要「情報」」

プログラミング教育の内容は小中高で段階的に変化する

プログラミング教育の内容は、小中高で段階的に変化します。小中高それぞれの特徴を表にまとめました。


授業内容目的
小学校ICTの基本操作インターネットリテラシー情報活用能力簡単なプログラミング作成(ゲームやロボットなど)プログラミングスキルの習得よりも、問題解決能力や論理的思考力の向上をはかる社会でプログラミングが活用されていることを学ぶ
中学校ネットワークを活用したプログラミング情報セキュリティ簡単なプログラミング作成(チャットプログラムなど)小学校よりもITに関する知識を深めるプログラミング的思考の育成や問題解決能力の向上
高等学校情報社会の問題解決コミュニケーションと情報デザインコンピューターとプログラミング情報通信ネットワークとデータの活用プログラミングスキルの習得問題解決にプログラミングを活用する

小学校や中学校でプログラミングが必修化されましたが、「プログラミング」という教科が新設されたわけではありません。算数や技術家庭科などの教科のなかで、プログラミングを活用して授業が進められます。

プログラミングを本格的に学習するのは高等学校からです。必修科目「情報Ⅰ」や選択科目「情報Ⅱ」を通じて、プログラミングスキルを学びます。そのため「将来のために早い段階からプログラミングに親しんでほしい」と考えている場合は、学校以外でプログラミングに触れる機会を設けるのがおすすめです。

プログラミング教育のメリット

プログラミング教育のメリットを3つご紹介します。

  • あらゆる業種で役立つ能力の獲得
  • IT化に対応できるスキルの獲得
  • 職業選択の選択肢の拡大

なぜプログラミング教育が必要なのかを知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

あらゆる業種で役立つ能力の獲得

プログラミング教育は、創造力・想像力や問題解決能力、プログラミング的思考などの育成に役立ちます。「プログラマーやエンジニアにならないならば、プログラミング的思考は不要なのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし、これらの能力はあらゆる業種において必要とされるスキルです。

たとえば、将来「企画職」に就いた場合で考えてみましょう。プログラミング的思考があれば、自社の課題や消費者ニーズを分析して「目標達成までの効率的な道筋」を考えられます。

IT化に対応できるスキルの獲得

プログラミング教育を受けると、デジタルデバイスの操作やネットワークへの理解、ITリテラシーといったスキルを獲得できるでしょう。

ブランドイメージを高めるためにWebサイトを作成したり、業務効率化のために社内システムを導入したり、あらゆるシーンでIT化が進んでいます。デジタル技術を使いこなせなければ、業務を円滑に進められません。

職業選択の選択肢の拡大

さまざまな業界でIT技術が活用されるなか、IT人材は不足している状態です。「ITに関する知識」や「プログラミングスキル」は、社会で活躍する際に大きなアピールポイントになるでしょう。また、今後もIT人材の需要は高まることが予想されます。

小学生のプログラミング教育における注意点

小学生のプログラミング教育における6つの注意点について解説します。

  • プログラミング技術を学ぶとは限らない
  • 教員の理解度や学校の設備によって学習内容に差がある
  • 保護者様がサポートしにくい可能性がある
  • 家庭の環境によって学習に差がつきやすい
  • デジタルデバイスを使わない授業もある
  • 学費が上がる可能性がある

注意点を知らなければ、思ったようにプログラミングスキルが身につかない可能性も。効果的に学習するために、ポイントを理解しておきましょう。

プログラミング技術を学ぶとは限らない

「プログラミング教育を受ける=プログラミング技術が身につく」ということではありません。

小学生のプログラミング授業では「情報リテラシー」や「プログラミングの基礎となる思考力」の育成を重要視しています。プログラマーになるために実践的な知識を学びたい方にとって、学校の授業は不十分だと感じるでしょう。

教員の理解度や学校の設備によって学習内容に差がある

プログラミング教育は必修化されて間もないため、まだ学習環境が整備されていないのが現状です。また、教員の理解度が低ければ、子どもたちはITに関する知識を深められません。

授業の準備や保護者様の対応に追われる教員は、プログラミングを学ぶ時間を作ることが困難です。教員の理解度や学校の設備によって学習内容に差が生じる点が、プログラミング教育の課題といえます。

保護者がサポートしにくい可能性がある

保護者様はプログラミング教育を受けていないので、どのようにサポートすればよいのかイメージできない方も多いでしょう。そもそも保護者様が「パソコン業務が苦手」または「IT技術に苦手意識がある」ケースも少なくありません。

タブレットを持ち帰って自宅で課題に取り組む際、保護者様でトラブルに対応できなければ、対処方法を都度学校に確認する必要があります。

家庭の環境によって学習に差がつきやすい

「自宅にパソコンがあって普段から使用しているお子さん」と「自宅にパソコンがなく使用方法がまったくわからないお子さん」では、学習スピードに大きな差が生まれます。電源の付け方やキーボードの入力方法など、何度も質問していては効率的に学習を進めるのが難しいです。

デジタルデバイスを使わない授業もある

パソコンやタブレットといったデジタルデバイスを使わずに、カードやパズルを用いて授業を行う学校もあります。授業内容によっては、プログラミング教育を受けても、デジタルデバイスの使い方を学べないことがあるので注意してください。

学費が上がる可能性がある

タブレット学習が必修化するなかで、ICTにまつわる準備費用や維持費がかかります。具体的に、プログラミング教育で必要となる経費の例は以下の通りです。

  • 教員用のパソコンやタブレット
  • 生徒用のパソコンやタブレット
  • 授業で扱うプロジェクター
  • プログラミング教育用の教材
  • インターネット環境の整備
  • ICT支援員の配置

私立学校の場合、プログラミング教育のためにかかった費用として、学費が上がるケースがあります。

【小学生のプログラミング学習】家庭でできる3つのサポート

小学生のプログラミング学習において、家庭でできる3つのサポートは以下の通りです。

  • デジタルデバイスに触れる時間を増やす
  • 料理や遊びを通してプログラミング的思考を身につける
  • プログラミングスクールの活用

授業で学んだからといって、プログラミングができるようになるとは限りません。スキルを身につけるには、家庭でのサポートが大切です。

デジタルデバイスに触れる時間を増やす

デジタルデバイスに触れる時間を増やすと、デジタル技術への抵抗感を減らせます。「入試試験のオンライン化」や「オンライン面談」など、プログラミング教育以外の場面でもデジタルデバイスを扱う機会は増えていきます。デジタル技術に抵抗がないほうが、入試や就職活動を有利に進めやすいです。

IT機器に親しんでいないお子さんは、未知の技術に対して「難しそう」という感想を抱く傾向にあります。一方、日常的にIT機器を使用していれば、新たな技術を「おもしろそう」と前向きな姿勢で活用できるでしょう。

料理や遊びを通してプログラミング的思考を身につける

パソコンやタブレットを使わなくても、プログラミング的思考を身につけることは可能です。たとえば、料理では「どの素材を使って・どの順番で調理するのか」を考えます。つまり「どの処理を・どんな順番で行えばよいのか」を考えるプログラミングと、似た一面を持つのです。

料理や遊びの際に「こうすればいいよ」と一方的に教えるのではなく、「どうしたらいいと思う?」と問いかけることが、お子さんの能力を伸ばすきっかけを作ります。

プログラミングスクールの活用

確実にプログラミングスキルを習得したい方には、プログラミングスクールの活用がおすすめです。プログラミングは参考書を使って独学で身につけることも可能ですが、質問できずに学習に挫折しやすいので注意してください。

プログラミングスクールに通えば、疑問点をすぐに講師に質問できて、IT知識を深く理解できます。さらに、一緒に勉強する仲間ができると、学習へのモチベーションを維持しやすいです。

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プログラミング教育で養われる能力は、問題解決能力や創造性、プログラミング的思考などがあります。

小学校の授業では、ICTの基礎知識や正多角形の作図方法を学びます。プログラミング教育を受けたとしても、スキルが習得できるわけではない点に注意しましょう。将来の受験に向けて、確実にスキルを身につけたい方にはプログラミングスクールの利用がおすすめです。

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